参拝のあとは、そのまま泊まってみませんか
神社にお参りしたあと、「もう少しこの空気の中にいたいな」と思ったことはありませんか。
そんなときは、近くの宿に泊まってしまうのがおすすめです。
日帰りだと、帰りの電車の時間がどうしても気になります。
泊まりなら、その心配がありません。夕方の境内をゆっくり歩いて、温泉につかって、おいしい夕食をいただく。翌朝は、人の少ない静かな境内に、もう一度お参りできます。参拝がひと晩かけた時間になると、旅の思い出が、ぐっと深くなります。
今回は、神奈川、静岡、埼玉の有名な神社から、泊まってみたい宿を16軒ご紹介します。
神社に近い旅館やホテルを選びました。神社までの距離も、できるだけ正直にお伝えします。歩いて行ける宿もあれば、電車や車で向かう宿もありますので、旅の組み立ての参考にしてください。
行き先は、気になる神社から選んでみてください。
まずは、源頼朝ゆかりの古都、鎌倉からご案内します。
鎌倉・鶴岡八幡宮の近くで泊まる【神奈川県】
鎌倉のシンボルといえば、鶴岡八幡宮です。
1063年に、源頼義が源氏の氏神として祀ったのが始まりと伝わります。その後、源頼朝が1180年に現在の場所へ社殿を造り、鎌倉幕府の中心になりました。今の本殿は1828年に造られたもので、国の重要文化財に指定されています。仕事や出世、人との縁にご利益があるといわれ、パワースポットとしても知られています。
境内には、春は桜、夏は蓮の花が咲く源平池があります。秋は白旗神社のまわりが紅葉し、冬は神苑ぼたん庭園で、正月ぼたんも楽しめます。八幡様の使いとされる鳩の飾りを、境内のあちこちで探すのも楽しみのひとつです。参拝は朝の6時から。夕方の八幡宮と、朝の八幡宮では、まったく違う表情に出会えます。
じつは、鎌倉を訪れる人の多くは日帰りで、泊まる人は30人に1人ほどという推計があります。だからこそ、泊まって歩く朝の参道は、特別な時間になります。
ホテルメトロポリタン鎌倉
八幡宮まで、まっすぐ歩いて行きたい人に合う宿です。
JR鎌倉駅の東口から歩いて2分、八幡宮へ続く若宮大路沿いにあります。八幡宮の二の鳥居のすぐそばで、「プレミアムコーナー」の客室からは、その二の鳥居を眺められます。2020年4月に開業した新しいホテルで、客室は全12種類。洗い場付きのバスルームがあり、ゆっくり湯船につかれます。
朝食は、無印良品の「Café&Meal MUJI」でいただけます。体にやさしい朝ごはんで、参拝の一日が始まります。大谷石を配した中庭は、春はツツジ、秋は紅葉が楽しめる静かな場所です。
入口が路地のような作りで、初めての人は少し迷うかもしれません。出かける前に、地図で確認しておくと安心です。
かいひん荘鎌倉
海辺の旅館で、大正ロマンの空気に包まれたい人に合う宿です。
由比ヶ浜にあり、江ノ電の由比ヶ浜駅から歩いてすぐです。若宮大路は、海から八幡宮へ続く参道なので、この宿はその入口に近い場所にあります。八幡宮までは歩くと少し距離があるので、江ノ電で鎌倉駅へ出ると楽です。駅から八幡宮までは、歩いて10分ほどです。
洋館の部分は、国の有形文化財です。昭和27年からリゾートホテルとして、多くの文化人に親しまれてきました。洋館の「らんの間」は、1日1組だけの洋室ツインで、アール・ヌーヴォーの家具に囲まれて過ごせます。旅館の建物には、石灯籠のある日本庭園を眺められる、数寄屋造りの客室もあります。
夕食は月替わりの懐石料理で、お部屋でいただくこともできます。小ぢんまりとした石造りの大浴場もあり、静かに一日を締めくくれます。
古都鎌倉のリゾートホテル WeBase鎌倉
海の近くで、ゆっくり朝を迎えたい人に合う宿です。
由比ヶ浜駅から歩いて数分、由比ガ浜海水浴場のすぐ近くにあります。泊まった人の口コミでは、夕日と朝日を楽しめるという声が多く、海辺の宿ならではの時間が味わえます。
館内には、焼き菓子や軽食、飲み物を楽しめるクラブラウンジがあります。大浴場とサウナもあり、お風呂は、この規模にしては広いという声があります。テラスや、レンタサイクルもあります。
八幡宮までは江ノ電、または自転車で向かえます。参拝のあとは、海を眺めながら、ひと息つけます。
鎌倉プリンスホテル
海の景色を主役にした、記念日の旅に合う宿です。
七里ヶ浜の高台にあり、97室すべてがオーシャンビューです。お部屋の向きによって、江の島や富士山、遠くの伊豆大島まで見渡せます。朝食は、海が広がる窓の前のレストランでいただけます。夕食は、地元の食材を使ったフランス料理です。夏には、宿泊者が使える屋外プールもあります。
江ノ電の七里ヶ浜駅から歩いて8分ほどで、無料のシャトルバスも走っています(条件あり)。鎌倉駅からはタクシーで15分ほどです。八幡宮からは離れていますので、八幡宮の参拝と、海辺の時間を、どちらも楽しみたい旅に向いています。
江の島・江島神社の近くで泊まる【神奈川県】
江の島にある江島神社は、辺津宮、中津宮、奥津宮の3つの宮の総称です。
日本三大弁財天を祀り、金運と良縁のご利益で知られています。天女と五頭龍の伝説にちなんだ「龍の銭洗」や、良縁を願う「むすびの樹」もあります。鎌倉時代の初めにつくられた八臂弁財天は、国の重要文化財です。江戸時代には、箱根詣や大山詣と並んで人気のあった「江島詣」の地でもありました。
江の島は、島全体が参道のようなところです。
島に渡って、坂や階段をのぼりながらお参りするので、思った以上に体力を使います。島の中や、島のすぐ近くに泊まれると、ぐっと楽になります。
岩本楼本館
宿そのものの歴史を味わいたい人に合う宿です。
岩本楼の前身は、江島神社の奥津宮の別当寺「岩本院」です。鎌倉時代から、将軍や天皇の使い、江の島に参る大名たちの宿坊として、迎え入れてきました。明治の神仏分離で旅館になり、今では民間の旅館として営業しています。神社と深くつながってきた宿に泊まる、という物語がそこにあります。
お風呂は、昭和初期に造られた「ローマ風呂」が名物です。ステンドグラスを使ったドーム式で、国の登録有形文化財です。弁財天を祀った「弁天洞窟風呂」もあります。どちらも温泉ではありませんが、体験する価値のあるお風呂です。
夕食は、相模湾の幸を使った海鮮会席です。富士山が正面に見える部屋もありますが、見えるかどうかは天気次第です。片瀬江ノ島駅から歩いて12分ほど、弁財天仲見世通りを進んだすぐのところにあります。
江の島ホテル
参道の入口に泊まり、温泉も楽しみたい人に合う宿です。
江の島の入口、弁天橋を渡ってすぐの場所にあり、江島神社へ向かう参道の入口です。2020年3月に開業した和モダンのホテルで、洋室の客室は17室あります。フロアごとに雰囲気が違い、2階はモダン、3階はアジアン、4階と5階は和のテイストです。5階には、相模湾を一望できる露天風呂付きのスイートもあります。
歩いてすぐの「江の島アイランドスパ」には、地下1,500mから湧く天然温泉と、富士山を望む水着着用のプールがあります。海を眺めながら食事のできるレストランもあります。
参拝で歩き疲れた体を、そのままお湯でほぐせるのが魅力です。
BREATH HOTEL
人の少ない静かな場所で、ゆっくり過ごしたい人に合う宿です。
江の島から少し離れた鵠沼海岸にあり、江の島までは車で7分ほどです。鵠沼海岸駅、片瀬江ノ島駅、湘南海岸公園駅から、無料の送迎があります(要予約)。16歳以上限定のホテルなので、静かに過ごせます。
客室には、全室にバブルバスとミストサウナ、浴室のテレビがあります。部屋によって、富士山、江の島、相模湾をまとめて眺められます。食事は、24時間利用できるお部屋での食事が魅力で、人目を気にせず味わえます。1階には、光の映像に包まれる3Dマッピングルームもあります。
弁財天に会いに行き、戻ってお部屋でゆっくり過ごす。そんな「こもる旅」に向いた宿です。
熱海・伊豆山神社の近くで泊まる【静岡県】
熱海の高台にある伊豆山神社は、縁結びと強運の神社として知られています。
源頼朝が源氏の再興を祈願し、北条政子と結ばれた場所と伝わります。頼朝は、願いを叶えた感謝から、この神社を「関八州総鎮護」と崇めました。のちに徳川家康も、頼朝にならって強運の神として崇めたといわれます。
もうひとつの見どころが、日本三大古泉のひとつ「走り湯」です。
約1,300年前に発見されたとされ、社伝には、赤白二匹の龍が地下で温泉を湧かせた、という物語も残っています。
参拝には、少しだけ準備が必要です。
国道沿いの参道入口から本殿まで、長い石段が続きます。宿の案内では、約600段とされています。歩きやすい靴で、時間に余裕をもって出かけてください。だからこそ、神社の近くに泊まって、朝の元気な時間にのぼるのがおすすめです。
熱海・伊豆山 佳ら久
神社に近く、贅沢な温泉時間を過ごしたい人に合う宿です。
伊豆山神社の参道入口まで、歩いて約300mです。走り湯までは200mほどで、熱海の中でも神社に近い宿のひとつです。全57室すべてが、温泉の露天風呂付きです。最上階の8階にあるレセプションからは、相模湾が一望できます。
7階の大浴場には、海を眺める展望露天風呂、サウナ、寝湯があります。お酒やスイーツを楽しめるラウンジが2つ、寿司バーと、海鮮中心の会席料理を楽しめるレストランもあります。
熱海で唯一のミシュランキーのホテルとされ、落ち着いた大人の時間を過ごせます。参拝のあと、部屋の露天風呂で足を休めたい人にぴったりです。
熱海倶楽部 迎賓館
広いお部屋と、かけ流しの温泉でゆったり過ごしたい人に合う宿です。
伊豆山神社までは、1.1kmほどです。熱海ゴルフ倶楽部の隣にあり、緑の向こうに相模湾を見渡せます。全室が70平米以上の広さで、専用のバルコニーと、100%源泉かけ流しの半露天風呂が付いています。
眺めのよいレストランでは、伊豆の鮮魚を使った懐石料理をいただけます。ミストサウナ付きの大浴場もあり、専用の温泉から湯を引いています。「日本の宿」ゴールドアワードを16年連続で受賞していて、長く愛されてきた宿です。
お部屋で夕食をとる場合は、チェックインの時間に決まりがあるので、予約のときに確認すると安心です。
ソラトニワ熱海伊豆山
食事も飲み物も気軽に楽しみながら、泊まりたい人に合う宿です。
2025年10月にリニューアルした、旧「ゆとりろ熱海」です。食事や飲み物が料金に含まれる、気軽に楽しめる温泉宿です。相模湾を望む足湯カフェでの、ウェルカムアフタヌーンティーや、夕食後の〆パフェが人気です。
大浴場と露天風呂があり、お湯は硫酸塩泉で、美人の湯のひとつといわれます。サウナと露天風呂付きの別邸もあり、特別な日の旅にもなります。
伊豆山神社までは、1.4kmほどあります。熱海駅から無料の送迎(要予約)や、バスもあるので、朝に神社へ出かけるときは、時間を確認してから向かうと安心です。
大宮・氷川神社の近くで泊まる【埼玉県】
「大宮」という地名は、この神社に由来します。
氷川神社は、「大いなる宮居」とたたえられてきた、武蔵国の一宮です。2,400年以上の歴史をもつといわれ、2028年には御鎮座2500年を迎えます。東京や埼玉に約280社ある氷川神社の、総本社です。明治天皇の時代から、国の使いが参拝する勅祭社にも列せられています。
御祭神は、須佐之男命、稲田姫命、大己貴命の3柱です。
須佐之男命と稲田姫命は、仲のよい夫婦の神様です。そのため、縁結びのほか、夫婦円満や結婚運を願って訪れる人も多いといわれています。
ここでぜひ歩いてほしいのが、約2kmの氷川参道です。
一の鳥居から三の鳥居まで続き、日本一長い参道といわれています。両側には、ケヤキを中心に約650本の木が並びます。朝の光が木々の間から差し込む中を歩くと、気持ちが自然と静まります。一の鳥居の最寄りは、さいたま新都心駅です。大宮駅からは、東口を出て歩いて15分から20分ほどで、神社に着きます。
境内の広さは約3万坪です。
朱色の楼門、池にかかる神橋、清水が湧く「蛇の池」と、見どころが続きます。隣の大宮公園は、境内の一部から生まれた、埼玉県で最初の県立公園です。参拝のあとは、公園をのんびり散歩するのもよいでしょう。
楼門が開く時間は、季節で変わります。朝に参拝したい人は、あらかじめ確認しておくと安心です。
天然温泉 氷川の湯 スーパーホテルPremierさいたま・大宮駅東口
大宮駅東口から氷川神社へ、朝の参道を歩きたい人に合う宿です。
大宮駅の東口から歩いて4分ほどで、神社へ向かう東口側にあります。男女別の天然温泉「氷川の湯」があり、参道を歩いた足を、お湯でゆっくりほぐせます。女性専用のフロアもあるので、ひとり旅でも安心です。
お部屋のベッドは150cm幅で、ゆったり休めます。朝食は、焼きたてパンやオーガニック野菜のサラダのビュッフェです。お子さまの宿泊はできないとされているので、大人の旅に向いています。
レフ大宮 by ベッセルホテルズ
駅からすぐの宿で、都心との行き来も楽にしたい人に合う宿です。
大宮駅東口から歩いて3分で、氷川神社へ向かう東口側にあります。サウナ付きの大浴場があり、参拝で歩いた体を温められます。池袋駅までは26分、新宿駅までは32分と、都心との行き来も便利です。
口コミの評価が高い宿で、清潔で使いやすいという声が目立ちます。朝の参拝のあとで、そのまま都心へ戻る旅にも使いやすいです。
パレスホテル大宮
家族や友人と、ゆとりをもって泊まりたい人に合う宿です。
大宮駅の西口から、歩行者用のデッキで3分ほどの場所にあります。氷川神社は東口側ですので、駅を抜けて歩く形になります。その分、駅前でゆっくり食事をしてから休めます。
米国シーリー社製のベッドを使った客室で、朝食は和洋のビュッフェです。大浴場もあり、子どもに向けたサービスが充実しているので、家族連れにも向いています。
朝いちばんに氷川神社の参道を歩き、戻って朝食をとる。そんな一日が、都心から近い距離で味わえます。
富士宮・富士山本宮浅間大社の近くで泊まる
富士山本宮浅間大社は、全国に約1,300社ある浅間神社の総本宮です。
世界遺産「富士山」の構成資産のひとつで、富士山の8合目より上は、この神社の境内とされています。山頂には、奥宮があります。
見どころは、特別天然記念物の「湧玉池」です。
かつては、富士山に登る人が、この池で身を清めてから出発したといわれます。本殿は、徳川家康が造営したと伝わります。主祭神は木花之佐久毘売命で、安産や火伏せの神様として知られています。
参拝は、朝の5時から(11月から2月は6時から)できます。朝の澄んだ空気の中で、池と神社をゆっくり歩けるのも、泊まる人の特権です。
富士山リトリート MUKUten.舎富士宮
神社のすぐそばで、木の香りに包まれて休みたい人に合う宿です。
浅間大社の一之鳥居に隣り合い、歩いて2分ほどです。富士宮駅からも、歩いて10分ほどです。富士山世界遺産センターのすぐ隣にあり、「舎」の字をかたどった屋根は、富士山の稜線に合わせた形だそうです。
客室は、無垢の木を使った、やわらかな香りの空間です。楠のベッドスペースや、富士山の麓で育ったヒノキのお風呂があります。1日1組限定のお部屋は、貸切のサウナも付いています。
海外の宿泊者からも、鳥居と富士山の眺めが印象的だったという声があります。参拝の後すぐ戻って休める近さは、この宿ならではです。
富嶽温泉 花の湯
温泉やサウナをたっぷり楽しみたい人に合う宿です。
県の東部で最大級の温泉施設で、宿泊もできます。自家源泉の「富嶽温泉」のほか、死海の塩の湯、高濃度炭酸泉、薬草釜風呂など、多彩なお風呂が楽しめます。サウナも、麦飯石塩サウナ、備長炭サウナ、テントサウナと種類が豊富です。
浅間大社までは、1.5kmほど、車で7分ほどです。歩くには少し距離があるので、車やバスで向かうと楽です。参拝のあと、お風呂を目当てに戻ってくる旅に向いています。
ホテルクラウンヒルズ富士宮 西富士宮駅前
浅間大社まで歩ける距離で、気軽に泊まりたい人に合う宿です。
JR西富士宮駅のすぐ前にあり、浅間大社までは、歩いて7分ほどです。お部屋からは富士山が見える部屋もあり、和室タイプもあります。
2階のレストランでは、ホテル特製の焼きそばや、オリジナルの静岡おでんを味わえます。近くには、飲食店やお土産屋さんが多く、食べ歩きも楽しめます。
気負わず泊まって、朝いちばんに富士山の見える神社へ向かう。身軽な旅にぴったりです。
最後に
有名な神社の近くに泊まると、参拝は「ひと晩かけた時間」に変わります。
八幡宮の朝の参道なら鎌倉、金運と良縁の弁財天なら江の島、強運と走り湯なら伊豆山。2kmの参道を歩きたいなら氷川神社、富士山の麓で身を清めたいなら浅間大社です。願いや気分で選べば、迷わずに決められます。
迷ったときは最初に「行ってみたい」と思った神社から、旅の計画を始めてみてください。

